海面上昇でほとんどの土地が水没した未来(25世紀)のSF小説。
出だしは海面上昇前の研究者の話から進んでいきます。
ここで私はてっきり、対策やら何やらがメインのお話だと思ってしまいたがそうではありませんでした。
すぐに海面上昇後の話になっていきます。
そして、てっきり単純に海上(海中)での生活が描かれるのかと・・・。違いました。
海上民と地上民の争いや、科学、生物、政治、雑多様々な問題、様態が描かれています。
人々のいき方、人工知能との関係等々、ほんとうに盛りだくさんです。
主人公はかっこよく、感情移入しやすいので、かなり複雑な内容ですが読みやすかったです。
タイトルの「華竜の宮」はラスト近くで出てきます。
明るい話ではありませんけれど、終末の世界をすごい想像力で書かれています。
ラストはそこに行き着くのかと感心しました。
ちょっと不思議だったのは、自分でも好感が持てたのか、残念だったのかは分かりませんけれど、恋愛関係の話はほぼ皆無な事ですね。
90点
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華竜の宮 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) 著者:上田 早夕里 |